■昼と夜に、別れてしまった未来。(前川知大 2011.10)
リチャード・マシスンというアメリカの作家がいる。
その後のSFやホラーというジャンルで、彼の影響を受けていない作品を探すほうが難しいとまで言われる巨匠である。
1954年発表の「I Am Legend」は、自分以外全ての人間が吸血鬼となった世界で生きる一人の男の話だ。
「地球最後の男」という邦題もあるこの小説は、今まで何度も映画化されており、
07年の「アイ・アム・レジェンド」は記憶に新しい。
ゾンビ映画の産みの親であるジョージ・A・ロメロもこの小説の影響を公言しており、無数のオマージュや亜流が存在している。
私も最初に触れたのは藤子・F・不二雄の短編漫画「流血鬼」というオマージュ作品だった。
現代の吸血鬼、二分された人間と世界、というテーマには昔から惹かれていて、実は劇団内外で何度も舞台にしている。
中編「双魚」(2006)
長編「狭き門より入れ」(2009)
短編「人生という、死に至る病に効果あり」(2010、図書館的人生Vol.3)
今回の「太陽」は、最初にこの題材に挑戦した「双魚」をベースにしている。
昼と夜に別れてしまった未来。
強く若い肉体を手に入れた夜の住人と、彼らの登場によって「古く」なってしまった普通の人達。
吸血鬼は出ませんが、今回は最初からSFです。